「iPhoneは安全」と思っていませんか？「見覚えのないアプリがある」「データ通信量が異常に増える」といった症状が発生したときに疑われるのが、ウイルス感染です。
たしかに、iPhoneはAndroidと比べてウイルス感染のリスクは低いとされていますが、ゼロではありません。

たとえば、見覚えのないアプリが勝手に入っていたり、バッテリーや通信量の異常、SNSの乗っ取りなどが発生するケースもあります。
一見すると正常に見えても、裏でスパイウェアや構成プロファイルが不正に動作していることも。

この記事では、iPhoneがウイルスに感染しているか確認する方法や、自分では判断できないときの専門の相談先について分かりやすく解説します。

iPhoneがウイルス感染したときによくある兆候

iPhoneの動作に不審な点が見られるときは、ウイルス感染を疑うべき兆候が出ている可能性があります。
以下のような症状が複数当てはまる場合、スパイウェアや不正なプロファイルのインストールなど、iPhoneが悪意ある挙動をしていることが考えられます。

よくあるウイルス感染の兆候

症状	説明
見覚えのないアプリがインストールされている	インストールした覚えのないアプリが勝手に追加されている場合、不正なプロファイルや構成を通じてアプリが導入された可能性があります。
ポップアップ広告や警告が頻繁に表示される	Safariなどのブラウザを使用中に「ウイルスに感染しています」などの警告が出る場合、フィッシングサイトに誘導されているおそれがあります。
バッテリーの消耗が異常に早い	バックグラウンドでスパイウェアやマルウェアが動作していると、通常よりも早くバッテリーが減少する傾向があります。
データ通信量が急増している	ウイルスが外部にデータを送信している可能性があります。アプリごとの通信量を確認して、不審な増加がないかチェックしましょう。
カメラやマイクが勝手に起動する	カメラやマイクが使用中でもないのに動作している場合、遠隔から端末を監視されている可能性があります。
端末の動作が極端に重くなる	動作が遅い、フリーズするなどの異常が続く場合、不正なアプリやマルウェアが動作しているおそれがあります。

これらの症状が複数見られる場合、iPhoneに異常が発生している可能性が高く、早めの調査や対処が必要です。

ウイルス感染を自己判断するのは危険

iPhoneで発生する異常な挙動の中には、iOSの不具合や一時的なバグ、設定ミスが原因のものも多く含まれています。
逆に、本当にウイルス感染していても、表面的にはまったく異常が見られないケースも存在します。

たとえば、スパイウェアがバックグラウンドで密かに動作していても、通知や警告は一切表示されません。そのため、「症状が出ていない＝安全」とは限らないのです。

また、「とりあえず初期化すれば安心」「怪しいアプリを消せばOK」といった自己流の対処は、証拠を消してしまったり、被害の全体像が分からなくなるリスクもあります。

iPhoneに異常を感じたときこそ、確実な判断と安全な調査手段が必要です。不安な場合は、早い段階でフォレンジック調査や専門家への相談を検討しましょう。

※１　累計ご相談件数39,451件を突破（期間：2016年9月1日～）
※２　データ復旧専門業者とは、自社及び関連会社の製品以外の製品のみを対象に保守及び修理等サービスのうちデータ復旧サービスを専門としてサービス提供している企業のこと
第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。（集計期間：2007年～2020年）

インストール済みの不審なアプリや構成プロファイルを確認する

iPhoneがウイルスやスパイウェアに感染している場合、知らないうちに不正なアプリや構成プロファイルが追加されていることがあります。
まずは端末内のアプリや設定を確認し、不審なものがないかチェックしましょう。

見覚えのないアプリを確認する方法

まずはホーム画面やAppライブラリを確認して、自分でインストールした覚えのないアプリが入っていないかをチェックしましょう。
以下のような特徴のアプリが見つかった場合は注意が必要です。

• アイコンやアプリ名に見覚えがない
• App Storeからではなく、構成プロファイル経由でインストールされた
• 名前が意味不明な英数字の羅列になっている（例：config.mgmt.○○）
• アプリの説明がない、またはApp Storeに表示されない

不要なアプリを削除する手順

不正なアプリは、正規のアプリアイコンに似せていたり、バックグラウンドで活動するように設定されていることがあります。
見つけたらすぐ削除し、セキュリティアプリなどで追加チェックするのが安全です。

構成プロファイルの確認と削除

iPhoneにインストールされる「構成プロファイル」は、本来は企業や教育機関などが端末設定を管理するための機能ですが、悪意あるプロファイルがウイルスやスパイウェアの入り口になるケースもあります。

たとえば、不正なVPN接続を追加されたり、未知のアプリをインストールさせられたりすることもあり、感染の原因になっている可能性もあるのです。

構成プロファイルの確認・削除手順

心当たりのないプロファイルが入っている場合、それが不正なアプリの自動インストールや、フィッシングサイトへの転送に使われている可能性があります。
内容が不明なプロファイルは削除し、必要であれば再設定しましょう。

自分での対応には限界がある場合も

iPhoneに不審な動きがある場合、多くのユーザーは「とりあえずアプリを削除する」「設定をリセットしてみる」といった対応を試みがちです。
しかし、悪質なスパイウェアや不正プロファイルの中には、設定画面に表示されない・削除しても復活するといった高度な偽装が施されているケースもあります。

このような場合、表面的な対応だけでは根本的な解決には至らず、感染が継続したり、証拠となるログや痕跡を消してしまう危険性もあります。

特に、SNSやクラウド、メールなど複数のサービスが連携されている現代では、被害が目に見えないかたちで拡大することもあるため、慎重な判断が求められます。

「不審な動作が続く」「個人情報が漏れたかもしれない」など少しでも不安がある場合は、無理に自力で対応しようとせず、専門機関による調査を検討することが最も確実な手段です。

iPhoneにはウイルススキャンアプリがない？代わりにできること

Androidではセキュリティアプリでウイルススキャンが可能ですが、iPhone（iOS）ではウイルススキャンアプリというものは存在しません。
これは、Appleがセキュリティ上、アプリ同士のアクセスを制限しているためです。

そのため、iPhoneでは「ウイルスをスキャンして駆除する」のではなく、不正アプリやプロファイルを手動で削除し、予防策を徹底することが基本になります。

とはいえ、App Storeには「セキュリティアプリ」として以下のような予防機能を持つアプリが存在します。

• 危険なWebサイト・フィッシング詐欺のブロック
• VPNによる通信の暗号化
• 広告トラッカーの遮断
• 盗難・紛失時の位置追跡

スキャン機能はありませんが、これらのアプリを活用することで「感染を未然に防ぐ」ことは可能です。

万が一「すでに感染しているかもしれない」と感じた場合は、自力での判断にこだわらず、専門機関に相談するのが最も安全な選択肢です。

まとめ：自力でできるiPhoneウイルスチェックリスト

iPhoneのウイルス感染はまれですが、ゼロではありません。以下のチェックリストに沿って確認・対処を進めましょう。

いずれの症状も、単独であればiOSのバグや一時的なエラーの可能性もありますが、複数の異常が同時に発生している場合は要注意です。そのまま放置すれば、個人情報の漏洩や金銭的被害にまでつながるリスクがあります。

自力での調査と対処が難しいと感じたら、早めに信頼できるセキュリティ業者やフォレンジック調査会社へ相談してください。